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相続税がかからないとわかればそれでOK?

 このブログでは、これまで、相続税の対象になる財産はどんなものか、また、その財産がどの程度あると相続税がかかるのか、そして相続税額がどのくらいになるかなど、相続税の仕組みについて簡単に説明してきました。

 読まれた方、いかがですか?相続税はかかりそうですか?

 うちには、とてもじゃないけど相続税がかかるような財産はないよ。心配なし。そんな方もたくさんいらっしゃると思います。確かに昨年11月の記事で紹介したように、亡くなられた方のうち90%以上の方は相続税の対象にはなりません。

 今回の記事は、そんな相続税とは無縁だと思われる90%以上の皆さん(私もそうです。)のためのものです。

 亡くなられた方が、いくら財産が無いとはいっても、少なくとも身の回り品ぐらいの財産はあるでしょうし、債務もないとはいっても、電気料や水道料の未払分はあるでしょう。お葬式もしないわけにはいかないでしょう。

 

 そうです、相続税がかからない場合でも、相続は必ず起こります。

 相続人がいなければ、最終的にその財産は国庫に帰属します。

 相続人が一人の場合、特に何もしなければ、亡くなられた方の財産債務を全部引き継ぐことになりますので、上記のような場合、遺品を片づけ処分し、光熱費等を支払えば、それで終わりです。

 しかし、相続人が二人以上いる場合、必ず遺産分割の問題が生じてきます。小津安二郎の名作映画「東京物語」でも、精進落としの席で亡き母の着物をめぐって形見分けを要求するという、えげつないシーンがあります。でもこれが現実です。

 相続税がかかるような財産がある場合、確かに相続税の負担はありますが、相続税の申告期限までに申告納税をしなければならない、という大原則があるうえ、税理士や司法書士といった専門家の手助けを受けながら、遺産分割を進めていくのが普通です。したがって、相続人の間でも、相続税や相続についての知識も深まり、よほどのことがない限り、申告期限である10カ月以内に遺産分割も完了します。

 しかし、相続税がかからない場合、分ける財産が少ないため奪い合いになりやすいのです。さらに、寄与分や特別受益などについてのインターネットでの情報を都合の良いように解釈して主張しあい、泥沼化することもあります。そして、専門家のアドバイスを得られることも少ないために、その争いが長期に渡って続き、場合によっては、相続人の子どもや孫の代まで影響を及ぼすこともあります。

 このような不幸を招かないにはどうしたらいいのでしょうか?

 その解決策として、もっともよく勧められるのが、遺言書の作成です。遺言書は、亡くなられた方の気持ちを法的に示す唯一の書面です。相続の争いを無くすために、相続税がかかりそうにない方にも、遺言書の作成をお勧めします。

 遺言書は、その書き方が法律によって厳密に決められていて、例えば、作成日を書き忘れるとそれだけで無効になります。したがって、遺言書の作成にあたっては、法律の専門家の助言を受けながら作成することが大切です。

 子孫に憂いを残さないために、法律的に有効な遺言書で、ご自分の意思を明確に残しておかれることをお勧めします。このほか、相続人がいない場合に、生前お世話になった方などに財産を譲る場合にも遺言書は有効です。

 なお、当税理士法人は、遺言書の作成に詳しい司法書士事務所と提携しています。相続税の有無にかかわらず、お気軽にご相談ください。

                                                                                                                              (川路記)

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