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相続税はどうやって計算するの?

 相続税の税額はどうやって計算するのでしょうか?

 相続税の計算は、「2段階+α方式」で計算します。

 では、令和4年1月の記事のAさんの例で段階を追って計算してみましょう。

 Aさんの例では、基礎控除額が3,000万円+600万円×3=4,800万円、正味の遺産額は5,500万円-(100万円+200万円)=5,200万円、課税遺産総額は400万円でした。この400万円が税額計算のスタートになります。

 そして、正味の遺産額については、配偶者が2,000万円(2,300万円-(100万円+200万円))、子aが1,800万円、子bが1,400万円を実際に相続したものとします。

第1段階:相続税の総額(仮の相続税額)を計算します。

 まず課税遺産総額の400万円を配偶者、子a、子bが法定相続分で分けたものとします。

法定相続分は民法で決められています。この場合の法定相続分は、配偶者が1/2、子aが1/4、子bも1/4です。なので、配偶者が400万円×1/2=200万円、子aが400万円×1/4=100万円、子bも400万円×1/4=100万円となります。

 そして、それぞれの額ごとに税率をかけて税額を出します。税率は財産の額の多さによって、10%から55%までだんだんに上がっていくように決められています。この場合は3人とも10%なので、配偶者が200万円×10%=20万円、子aが100万円×10%=10万円、子bも100万円×10%=10万円となります。そしてこの3人分の税額を合計します。20万円+10万円+10万円=40万円です。この40万円を相続税の総額といいます。ここまでが第1段階です。

第2段階:相続税の総額を実際に相続した割合で按分します。

 配偶者は40万円×2,000万円÷5,200万円=153,846円、子aは40万円×1,800万円÷5,200万円=138,462円、子bは40万円×1,400万円÷5,200万円=107,692円となります。検算してみると153,846+138,462+107,692=400,000となり正しく按分されたことが分かります。これで第2段階まで進みました。あともう一息、プラスαが残っています。

+α:その人の事情による税額の調整をします。

 その人の事情による税額の調整としては、その人が配偶者であるとか未成年者、障害者、兄弟姉妹などの場合があります。

 この場合、+αによる税額の調整があるのは、配偶者だけです。配偶者が取得した正味の遺産については、1億6千万円以下か法定相続分までについては相続税がかからないという「配偶者の税額軽減」が適用されます。この例で配偶者が取得したのは2,000万円で、どちらの条件も満たしますので、第2段階で計算した配偶者の税額である153,846円は0円となります。子aと子bについては、+αの調整はありませんので、第2段階で計算された税額をそのまま納税することになります。

 以上をまとめると、配偶者が0円、子aが138,400円、子bが107,600円、合計で246,000円を納めることになります(100円未満は切り捨て)。

 

 いかがでしょうか。5,200万円の正味の遺産に対して246,000円(率にして0.47%)です。意外と少ないと思われたのではないでしょうか。

 ところが、第1段階のところでも書いていますが、相続税は累進課税といって、財産が多くなればなるほど税率が上がり税額もうなぎ上りに増加していくという仕組みになっています。

 例えば、Aさんの法定相続人3人全員が法定相続分で相続し、配偶者の税額軽減を適用した場合の相続税の計算をしてみると、Aさんの正味の遺産額が1億円だと税額は316万円(率にして3.16%)、2億円だと1,350万円(6.75%)、7億円になると、なんと1億870万円(15.5%)にまで跳ね上がります。

 

 実際の相続のときに慌てないために、だいたいの財産の額を把握されたらお早目に相続税額を試算してみることをお勧めします。ただ、実際にご自分で「2段階+α方式」を計算してみるのはなかなか大変です。そんなときには、こちらをご覧ください。財産の額と家族構成に応じたおおよその税額を知ることができます。

 正確な相続税額の把握には、財産の評価や各種の税法の特例の適用など、専門的な知識が必要です。また、財産の額が多いほど、長期的な視点に立った相続対策が大切です。詳しくは、当法人までお気軽にご相談ください。(川路記)

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