亡くなった方が、会社を経営していた場合などは、その会社の株式(自社株)も相続税の対象となる財産に含まれます。しかし、中小企業の株式は、大企業の株式のように証券取引所での取引価格がありません。このような株式のことを「取引相場の無い株式」といい、これについても財産評価基本通達にその評価方法が定められています。
事業を継続している会社のオーナー株主の場合、その会社と似た業種の上場会社の平均的株価から導いた類似業種比準価額とその会社の純資産額をもとにした純資産価額との二つの価額を組み合わせて評価することになります。
自社株の評価には、その会社の過去3年分の決算や申告データが必要なほか、その会社が所有している土地などの財産の評価も必要です。このため、その会社の経理の内容を熟知している顧問税理士にその評価を依頼することをお勧めします。
また、これらの株式には、贈与税や相続税の納税を待ってくれる制度(納税猶予)があります。この制度は、中小企業の事業承継がスムーズに行えるように設けられた制度で都道府県知事の認定を受けた会社の株式に適用があります。
さらにこの猶予制度は一般と特例という二つの制度に分かれており、特例については、令和6年3月末までに都道県知事への承継計画の提出と確認が要件になっています。これらの猶予制度についても、その会社の顧問税理士に早めに相談されることをお勧めします。ただ、税理士事務所によっては、相続税などの税務について引き受けないというところもありますので、そのような場合には、相続税に詳しい他の税理士事務所を早めに紹介してもらうなどしておくべきでしょう。(川路記)